「老後2,000万円」はもう古い——インフレ時代、老後のお金を何から準備すればいい?
「老後2,000万円問題って、あれ解決したの? それとも、もっと必要になってるの?」 「そもそも、何から手をつければいいか、まったく分からない……」 こんな声、よく聞きます。 じつは、2019年に話題になった「老後2,000万円問題」の計算のベースは、当時の物価・金利・年金水準でした。インフレが定着した2026年の今、同じ数字をそのまま使い続けるのは無理があります。 でも「じゃあ、いくらで、何をすればいいんだ?」となると、途端に分からなくなりますよね。 この記事では、老後のお金の準備を「何から始めればいいか」を、シンプルな3ステップで整理します。 難しい計算は後回し。まずは「今夜から動けること」を最優先にお伝えします。 「老後2,000万円」は今でも目安になるのか? 結論から言うと、2,000万円は「下限のひとつの目安」として今でも参考になります。ただし、そのまま使うには注意が必要です。 2019年の試算は「夫65歳・妻60歳のモデル世帯で、毎月約5.5万円の赤字が出る→30年分で約2,000万円」というもの。 2026年の今、何が変わったかというと—— 物価が上がった(光熱費・食費・日用品すべてに影響) 年金水準が微調整されている(マクロ経済スライドで実質的に目減り傾向。つまり、もらえる年金額が物価上昇ほど上がらない) 医療・介護の自己負担額が変化している これを踏まえると、老後の不足額は「2,000万円より多い可能性が高い」という専門家の意見が増えています。 ただし、「あなたに必要な老後資金」は、あなたの生活スタイル・年金受給額・退職金・配偶者の状況によってまったく違います。「一律○○万円」で判断するのは危険です。 だから「自分の場合はいくらか」を知ることが、老後準備の第一歩になります。 「何から始めれば?」——3ステップで整理する ステップ①:今の「お金の現在地」を確認する 毎月の収入・支出・貯蓄額を把握する 「貯金がいくらあるか」だけでなく「毎月いくら余っているか」が大事 貯蓄残高が多くても、毎月の支出が多ければ老後に向けた積み立てができません。まず「家計のキャッシュフロー」——つまり「入ってくるお金」と「出ていくお金」の流れを1ヶ月だけ記録してみましょう。 家計簿アプリ(マネーフォワードME など)を使うと、銀行・カードと連携するだけで自動で把握できます。 ステップ②:「老後のゴール」をざっくり決める 細かい計算は後でOK。まずは以下の3問に答えるだけです。 Q1. 何歳から老後の生活をスタートしたい? → 60歳? 65歳? 70歳まで働く? Q2. 老後の生活費は、現在の何割くらいをイメージしている? → 現在と同じ? 少し下げる? 旅行や趣味を増やしたい? Q3. 公的年金は何歳から受け取る予定? → 65歳から? 繰り下げ受給(最大75歳まで)を使う? この3問に答えるだけで、「自分の老後資金の大まかな目標額」の輪郭が出てきます。 ステップ③:FPに「現状と目標のギャップ」を話す ステップ①②ができたら、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談するタイミングです。 FPに話すべき内容は、難しい計算じゃなくていいんです。 「今こういう家計状況で、老後はこんなイメージをしています。でも何をすればいいか分からなくて」——これだけ伝えれば、FPがシミュレーションをしながら整理してくれます。 「何を準備してからFPに相談するの?」と思った方へ。 答えは「ステップ①②ができていれば十分」です。家計の記録も、目標の計算もFPと一緒にできます。 FPに相談する費用はどのくらい? 「FP相談って、高そう……」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。 有料の独立系FPへの相談費用は、1時間あたり5,000〜10,000円前後が相場です(2026年時点)。 「無料のFP相談もある」という声も聞きますが、無料のケースは保険商品の販売でFPに報酬が入る「コミッション型」が多く、商品購入が前提になることがあります。 中立的なアドバイスを求めるなら、「相談料のみ」で収益を得る有料独立系FPを選ぶのが安心です。 まとめ:「何から」は、この3つから始めよう ステップ やること 所要時間 ① 今の収入・支出・貯蓄を確認する 1時間(アプリで自動化可能) ② 老後の3問(時期・生活費・年金)に答える 15分 ③ FPに現状と目標を話す 1〜2時間(初回相談) 「老後2,000万円問題」の本当の怖さは、金額ではありません。「何も把握しないまま時間が過ぎること」です。 ...